大本営発表のウソ

ガダルカナル島撤退

昭和18年2月、ガダルカナル島の日本軍は撤退した。この時、大本営は「撤退」を「転進」と言い換えた。戦争中の大本営発表はウソばかりということで、この”転進”は何度も取り上げられ、一般に流布した。誰も疑わない、一度もこの大本営発表を読んでいないにも拘わらず、繰り返された。又、実際に読んでも頭に「言い換えを」刷り込まれているので、間違いに気がつかないようだ。

それでは、大本営発表の問題の部分を見てみよう。
「・・・ガダルカナル島に作戦中の部隊は昨年八月以降引続き上陸せる優勢なる敵軍を同島の一角に圧迫し激戦敢闘克く敵戦力を撃攘しつつありしが其の目的を達成せるに依り二月上旬同島を徹し他に転進せしめられたり・・・」
読めば分かるとおり、撤退を意味するのは、「同島を徹し」であって、「転進」ではない。同島より転進と発表したわけではない。従って言い換えは行なわれていない。ではこの発表に問題はないのか、「撤退を転進に言い換えた。」が繰り返されたのは、旧軍批判のためであろう。それなら、この発表の大きなウソに気がつかなければならない。

大きなウソとは「其の目的を達成せるに依り」の部分である。ガダルカナル島に派遣された日本軍の目的は、同島に上陸した米軍を駆逐し、飛行場を奪回、確保することであった。しかし、半年に及ぶ戦闘の結果、多大の損害を出し、制空権を持てなかった為、補給は途絶、兵器弾薬の不足ばかりか、食料の不足は、友軍を襲って食料を奪うところまで深刻化し、多くの餓死者を出すに至り、遂に撤退のやむなきに至ったのである。

大本営発表は、戦果を大きく、損害を小さくしていたことは間違いない。国民や将兵の戦意喪失を怖れて事実を歪曲したためだが、それだけではなく旧陸海軍の組織的欠陥、即ち前線の状況が正しく報告されなかったこともある。又、戦場で戦果誤認はよくあることで、戦争中の発表はどの国も正確とは言い難い。だから、すべてをデマ宣伝とは言えない。台湾沖航空戦で敵空母十隻以上を撃沈破というのもデマ宣伝ではなく、未熟なパイロットの報告を鵜呑みにした結果であった。

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